『ミラクル』
著:辻仁成
「大人になっていく」ということを、肌で感じさせてくれた、
優しい、童話のような物語でした。
子供と大人の境界線を行ったり来たりする様子を、登場人物の一挙一動を通して
繊細に書かれています。
年を重ねて、躊躇なく口から出てしまうようになった「嘘」。
見えなく、感じとれなくなってしまった「友達」。
無償で与えられることに慣れてしまった「愛」。
純粋な気持ちを全部無くさず、私たちは大人になることは可能だったのでしょうか。
大人になって無くしてしまったものを、みつめなおし
胸の奥の澄んだ場所にある「自分」に触れる
きっかけを作ってくれる一冊だと思います。